地下水の流れに伴って発生する微弱な電位変化を捉えることで、平面的な《水ミチ》の存在場所を判定しようという手法です。
地中にはいろいろな原因によって、微弱ですがいろいろな電気が流れています。地中に流体(ガスや地下水)が流れても微弱な電気が生じます。その電気の流れの変化を測定することによって、流体の流れている場所を探り出そうというのが、自然電位接地法です。この手法は以前鉱山分野で多用されていた手法です。この手法を地下水の流れに適用しようと言う試みが関東学院大学名誉教授伊藤芳朗博士のグループによって精力的に行われてい
ます。
◆自然電位設置法 調査目的
- 温泉脈を含む《水ミチ》調査
- 堤防・堤体漏水調査
- 断層・クラック・空洞・地下埋設物の調査「水ミチ」調査
◆自然電位設置法の測定方法
通常は一対の電極を一定間隔に保ちながら移動させて測定します(尺取り虫法)。電極間は調査対象により異なりますが、精度高い結果を望む場合は1・2mで測定します。測線上に《水ミチ》あるいは金属埋設物などが存在する場合は特有の電位変化を示します。これらを横断した場合にはS字型の電位変化が得られます。何もない場合の電位変化は±5mV程度です。
◆自然電位設置法実施手順
測点網を設置する場合(ため池堤体漏水・小さな水資源・汚染など)
- 調査対象地全体を覆うように測点網を設ける
- その測点網は想定される《水ミチ》を横断する方向に2m、それと直交方向に3mとする場合が多い
- 電極間隔は2・3mを取る場合が多い
- 測点上を小さなスコップで、深さ2・3cmほど剥ぎ取り、そこに電極を立てる
- 電位が安定した段階でその値を読み取る
- 想定される《水ミチ》を横断する方向と直行方向で電位を測定し、後でそれらをベクトル合成し、《水ミチ》の流動経路を推定する
設置法の実施例
◆自然電位設置法 仕様
硫酸銅電極と測定器(接地法)
鉛電極
◆測線を設置する場合(堤防漏水・温泉脈・伏流水など)
- 調査対象地に3〜5本の測線をそれぞれ平行に設ける
- 測点間隔は、調査対象によって選定する必要があるが、大きな堤防の場合で5m間隔とする
- 電極間隔は2〜3mとする。
- 測定は尺取り虫法で行う
- 決められた測点上で小さなスコップで深さ2・3cmほど剥ぎ取り、そこに電極を立てる
- 電位が安定した段階でその値を読み取る